「キックベースで蘇る体育祭の栄光と挫折」

キックベースとは

キックベースとは、野球のルールを簡略化した遊びで、ボールを蹴って走ることで得点を競うスポーツ（もしくは「大人になってもルールを覚えきれない謎の競技」）である。主に小学校の休み時間や公園で行われ、野球よりはるかにケンカが勃発しやすいことで知られる。

民主主義の崩壊現場

キックベースの最大の特徴は、その「柔軟なルール解釈」にある。「ノーバウンドでキャッチしたらアウト」「3回蹴ったらチェンジ」など、地域やグループごとにローカルルールが乱立する。これは民主主義の実験場と言えるが、実際は「一番声の大きいガキ大将がルールを支配する」独裁制に近い。審判がいないため、プレイ中に「今のはセーフだろ！」「いやアウトに決まってる！」という論争が必ず発生し、最終的には石投げ合戦に発展するケースも少なくない。

運動音量のトレーニング

キックベースは運動能力よりも「どれだけ大声を出せるか」が勝敗を分ける。ボールを蹴った瞬間に「ランナーイエーーーイ！」と叫ぶのが伝統的なマナーで、これを怠ると「お前、ちゃんと走れよ」とチームメイトから白い目で見られる。また、守備側は「キャッチするふり」だけして「取れた気がする！アウト！」と宣言する高度な心理戦を展開する。実際にボールを取る必要はない——嘘つきの才能が育まれる貴重な機会でもある。

大人のキックベース・トラウマ

30代以上の人間に「キックベースやった？」と聞くと、ほぼ全員が「あー、蹴ったら転んで歯折れた」あるいは「ボールが顔面直撃して泣いた」というエピソードを披露する。キックベースは子どもの頃のトラウマを量産する装置でもあり、その危険性は「ドッジボールの陰のライバル」と言える。にもかかわらず、なぜか学校では「安全な遊び」として推奨されていた謎は、未だに解明されていない。

キックベース・サバイバルガイド

キックベースで生き残るには、とにかく「ルールを深く考えない」ことが重要だ。ルールを追求すると必ずケンカになるので、「まぁいいか精神」で臨むべし。もしボールが顔に直撃しても、それは「キックベースの洗礼」だと受け止めよう。そして何より、大人になった今、改めてキックベースをやる勇気があるなら——それはそれで素敵なことだ（ただし歯科保険に入っておくことを推奨する）。