プール
冒頭
プールとは、水を溜めた人工の容器で、泳いだり涼んだりするための施設。ただし、実際には「水着で歩く社交場」としても機能する。
本文
プールは人類が「溺れずに楽しむ」という矛盾した欲望を形にしたものである。子どもは「飛び込み禁止」の看板を無視し、大人は「休日はゆったり」と宣言しておきながら、隣の家族の水遊びにイライラする。公共プールの水深1mのエリアでは、必ず誰かが「ここはオアシスだ」とばかりに浮輪にしがみついている。
一方、ホテルの屋上プールは「インスタ映え」という現代の儀式の聖地だ。水に入るよりも、ドリンクを片手に斜め45度で写真を撮る方が優先される。ちなみに、プールサイドで日焼け止めを塗り忘れた人は、後日「赤い宇宙人」に変身することを覚悟すべし。
プールの水は「消毒薬でキレイ」と言われるが、現実は「人の汗と日焼け止めのスープ」に近い。それでも「衛生管理はバッチリ」と施設側が主張するのは、ある種の信仰心だろう。また、室内プール特有の「塩素臭」は、入った瞬間に「ここはスポーツクラブだ」と脳に覚えこませる効果がある。
結び
プールで得られる教訓はひとつ。「どんなに浅い水でも、転べば恥ずかしい」という真理だ。
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