水泳：25mで息切れする人類の水中進化論

水泳とは

水泳とは、人間が水の中で溺れずに前進する（あるいは沈むのを遅らせる）技術のことだ。オリンピックでは華麗な競技として扱われるが、日常生活では「プールで隣の人に水しぶきを浴びせないようにする」程度のスキルで十分な場合も多い。

水泳は「人間は陸上生物」という事実を無視した、ある種の傲慢な挑戦である。にもかかわらず、誰もが「泳げないと恥ずかしい」と感じる奇妙な社会通念がある。犬かきレベルでも「泳げます」と答える人が多いのは、このプレッシャーのせいかもしれない。

公共プールには「ゆっくり泳ぐ人は速い人に道を譲る」「子どもゾーンで平泳ぎしない」など、法律より厳しい不文律が存在する。特に夏の混雑時は、水中の交通整理がサバイバルゲームと化す。ちなみに、クロールで隣のレーンに腕が伸びるのは、国際的に許されない行為だ。

水泳は「普段着ている服では参加できない」稀有なスポーツである。水着選びのストレスは泳ぎの疲労を凌駕し、特に大人男性のフルーツ模様トランクスは、周囲の目を泳ぎより気にする原因となる。一方、競泳用水着は「いかに体を絞めるか」という拷問器具の進化形だ。

水泳は物理的に「浮力を味方につけるか、抵抗で沈むか」を学ぶが、これは人生にも通じる。バタ足だけで進もうとする人は、職場でも空回りしがち。一方、平泳ぎのように「掻いて、蹴って、滑る」リズムを覚えれば、仕事も効率化できる……かもしれない。

水泳は「水と戦わず、水と遊べ」と教えてくれる。ただし、遊びすぎて監視員に笛を吹かれるのは自己責任だ。