こたつ
冒頭
こたつとは、日本の冬を支配する魔法のテーブル。下半身を温めながら上半身を自由に動かせるという、人類の進化を阻害する優れものだ。
本文
こたつは「一度入ったら出られない」という宇宙の法則を体現した装置である。その魔力は強力で、12月から3月にかけて、日本人の半数がこたつに吸い込まれ、動けなくなる。特にみかんを食べ始めたら最後、指先がオレンジ色に染まりながら「もう少しだけ……」と呪文を唱え、気づけば夕方になっている。
歴史を遡ると、こたつは室町時代に登場したとされる。当時の人々も「火鉢の上に布をかぶせたら超快適!」と気づき、以後600年にわたって人類のやる気を奪い続けている。現代では電気こたつが主流だが、それでも「足の裏が焦げそう」という原始的な恐怖を再現できるのはご愛嬌。
こたつの最大の敵は「こたつから出た瞬間の寒さ」だ。これを回避するため、こたつ専用の生活スタイルを確立した人々も存在する。リモートワークの普及で「こたつから出ずに会議」が可能になり、ついに人類は「下半身パジャマ、上半身スーツ」という新たなファッションを生み出した。もはやこたつは家具ではなく、一種の生活圏である。
結び
こたつから脱出する方法はまだ発見されていない。もし見つけたら、ノーベル賞どころか、全人類から感謝されること間違いなし。
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