キックベース
キックベースとは、野球とサッカーを足して2で割ったようなスポーツで、ボールをける代わりに走塁するという微妙なルールが特徴。簡単に言えば、「バットがない貧乏くじ野球」または「走るのが嫌いな人向けのサッカー」である。
このスポーツの最大の魅力は、誰もが「キックの名手」になれることだ。野球ならバットを振り逃す恥ずかしさがあるが、キックベースではボールを蹴り損ねても「風のせい」で済む。また、守備側にとっては、ゴロがどこに転がるか予測不能なため、「まるで人生のようだ」と哲学的な気分に浸れる。特に雨上がりのグラウンドでは、ボールが変則バウンドをし、守備陣が「アメフト選手ごっこ」を始めるのも見ものだ。
キックベースが学校体育で人気な理由は、道具が少なくて済むからだろう。バットもグローブも不要で、ボール1個あればOK。しかも、運動音痴な子でも「とりあえず蹴れば参加した気分」になれるため、教師から見ても都合がいい。ただし、熱中しすぎると、なぜかルールが突然「キックベース+ドッジボール」に進化し、ぼやっとしている子だけが顔面受け身をする羽目になるので注意が必要だ。
皮肉なことに、キックベースのプロ League は存在しない。おそらく、「野球より地味だけどサッカーより地味」という中途半端さが災いしている。しかし、地域の子ども会や飲み会後の公園では、なぜか熱狂的なファンが集まり、「あのキックは反則だ!」といった無駄に真剣な議論が繰り広げられる。
もし人生で行き詰まったら、キックベースをしてみよう。ボールが思わぬ方向に飛んだり、仲間がルールを都合よく解釈したりする様子は、まさに社会の縮図だからだ。
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